自己紹介

今回の記事をとにかく後に残せるような資料にしたい。

2014年9月23日火曜日

声 2014年9月14日

2014年(平成26年)9月14日 朝刊8面



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報道機関の在り方を問い直して 高校生 ●● ●(滋賀県 17)

 朝日新聞の木村伊量(ただひさ)社長が謝罪会見を開いた。慰安婦問題については、32年前からの自らの誤りを認めたという点で一定の評価ができる。だが、東京電力福島第一原発事故で作成された「吉田調書」についての誤報は訳が違う。

 あの記事は最初から「相手を批判し、揚げ足を取ってやろう」という目的ありきで書いたのではないかと疑わざるを得ない。そうであるとしたら、なぜそのようなことをしたのか、その目的も意図も私にはさっぱり理解できない。

 事実を歪曲(わいきょく)してまで記事を書くのは報道機関としてあるまじき行為だ。名誉棄損(きそん)にもなりかねない。そもそも、こうして吉田調書が公表されれば、誤報であることが明るみにでる。そのことに、なぜ頭が回らなかったのだろうか。

 池上彰さんのコラム「新聞ななめ読み」の掲載見合わせも含めて、都合の悪い批判を封殺し、隠蔽しようとする報道機関の記事を、果たして誰が信用するのだろうか。今回の二つの誤報問題と掲載見合わせ問題を通じて、朝日新聞という報道機関の在り方を、いま一度、問い直してほしい。

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誤報の背景に大新聞のおごり 無職 ●● ●●(長崎県 69)

 このたびの朝日新聞の大失態については、多くの批判の声が届いていることでしょう。

 慰安婦問題や東京電力福島第一原発事故に関する「吉田調書」の報道をめぐっては、多くのメディアから批判にさらされてきており、これからも更に激しくなることを覚悟しなければならないでしょう。

 それだけ今回の問題は大きいのです。長年、自浄作用を失っていたことは、失望の域を超えています。大新聞の名の下でのおごりからくる傲慢(ごうまん)さがあったのではないですか?深く反省されることを望みます。

 半世紀近く信頼してきた愛読者の気持ちが分かりますか?「記事取り消し謝罪」が掲載された12日の紙面は、字面を追っている内容が頭に入りませんでした。本当にこの記事を信じていいのだろうかとさえ感じ、もう先に読み進むことができません。このようなつらい気持ちを斟酌(しんしゃく)してもらいたいと思います。

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特ダネより正確さの優先を 養護教員 ●● ●●(広島県 55)

13日の声欄を拝見しました。投稿の中に「サンゴ事件」に触れたものもありました。この事件は、私が朝日新聞に持ち続けている不信感の一つです。それでも愛読してきたのは、27年前の阪神支局襲撃事件で暴力に屈しない姿勢に感銘を受けたからです。

 慰安婦問題で記事を取り消さなくてはならない事態を知り、一体どんな取材をしたのかと疑問に思っていました。そして、この度の「吉田調書」の記事の取り消しです。

 「吉田調書」を最初に読んだとき、東京電力の社員はひどい人たちだと思いました。印刷された記事は、ほぼ事実として受け止めているからです。しかし記事が間違っているとなると認識を改めなければならず、私としてはつらい作業を強いられます。

 このように記事の取り消しが度重なると、頭の中が混乱します。購読をやめようと一度は販売所に電話をかけました。でも、日本のためにも、暴力や権力にくみせず言論を貫く朝日新聞を応援しなくてはと思い直しました。特ダネよりも正確な報道を優先してください。

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編集姿勢を正せるかに注目 無職 ●● ●●(茨城県 67)

 就職したとき朝日新聞を自費で購入し始めてから50年になります。他紙に代えなかったのは、朝日新聞の批判精神を支持したからです。「権力は腐敗する」との格言を思うとき、政治を厳しくチェックし、批判することは必要です。慰安婦問題は、訂正と謝罪が遅かったのは残念でしたが、太平洋戦争の反省と総括をきちんとしていない政府に、問題を提起し続ける意味はあったと思っています。

 しかし、「吉田調書」についての間違った記事は、あまりにもお粗末の一言です。記事をセンセーショナルにするためか、自分たちに都合の良い解釈をして、あたかもそれが事実であったかのような書き方は、ジャーナリズムとは言えません。取り消しは当然だと思います。

 新聞を作るのが人間である以上、ミスはありうることで、その後の対応で一定の信頼回復は可能かもしれません。しかし、今回の一連の問題は、単に誤解、誤認、判断ミスという以上に報道姿勢を巡る深刻な問題を含んでいると思います。朝日新聞が一連の問題を真剣に反省して、どこまで取材・編集姿勢を正せるのか。それをしっかりと見て、考えて、購読を続けるのかやめるのかの判断をしたいと思っています。

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時の権力はの批判を緩めるな 大学名誉教授 山田 明(愛知県 65)

 やはき遅きに失した「記事取り消し謝罪」である。長年にわたる読者として残念でならないが、朝日新聞の「9・11」として、徹底した問題点の点検と検証を求めたい。とりわけ幹部社員がもっと危機意識をもつことだ。新聞社としての「リスク管理」「人事政策」の見直しが求められる。
 今いちばん心配なのは、現場の記者をはじめとして、朝日新聞が萎縮してしまうことだ。多方面から「朝日バッシング」が激しさを増す中で、事実を正確に伝え、権力を監視する新聞の原点を忘れないでもらいたい。「吉田調書」にみられる制御できない原発の恐ろしさを、「慰安婦問題」で女性の人権を踏みにじった歴史的事実を、今後もきちんと報道してほしい。朝日ならではの、鋭い記事を読者として期待する。

 わが国は「戦争する国」に向けた危険な動きが加速している。だからこそ、朝日新聞への期待も大きいものがある。「時の権力」への批判を緩めないでもらいたい。
 もう一度だけ。「朝日新聞、しっかりしろ」と言いたい。

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朝日新聞社は、慰安婦を強制連行したとする吉田清治(故人)に証言に基づく関連記事と、5月20日付朝刊で報じた東京電力福島第一原発事故の「聴取結果書」(吉田調書)についての記事を取り消しました。これらの記事に関連する投稿を寄せてくださった方をはじめ、すべてのみなさまにおわびします。 (「声」編集長 小森保良)

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